尾野真千子さん主演映画「茜色に焼かれる」を観に行きました。
石井裕也監督作品。
このコロナ禍の現代に、ズシンと響きます。
コロナだけではなくて、生きる上での理不尽な扱い、尊厳、母子愛や、押さえ込んだ怒り。誠実に生きていても報われないことがあること。
この生きにくい現代で、誰しも内面には、主人公の良子と同じ気持ちがあると思います。
「もっと怒っていい」、これは良子が言われたセリフですが、感情のままに怒れない状況は、大人なら必ずあります。
感情を押し殺して笑顔でやり過ごすことも。
こちらは大人の対応で、怒りを表現しないだけなのに、周りは何も考えず、理不尽な態度を取ってくることはあります。
理不尽な態度を取るような人間に、本当は怒りを抑える必要もない。
私もここ数年で、自分も怒ったり、主張をして良いのだなと初めて気づきました。
もう良い年なんですが。
皮肉なことに、相手に丁寧な態度を取っている方が、相手になめられるってこと、あると思います。
周りのことを考えず、気分次第で不機嫌になっているような人には、周りが気をつかって、腫物のように接したりだとか。
本当は逆ですよね。
だから私は、周りに思いやりのある態度を取れる人を尊敬します。
主人公の良子や、仲間のケイちゃんに降りかかる出来事は、どれも過酷です。
過酷だけれど、実際の事故をモチーフにしているし、リアルです。
前半は観るのが苦しくなるほどですが、その中でも救いがあったり、救いかと思ったら更に傷付いたり、愛情に救われたり…様々な感情を突き付けられました。
個人的には、表現によって昇華していくこと、私もそうありたいと感じます。
良子役は、尾野真千子さんでなければできなかったと思います。
瞬発力のある演技、静と動の、例えば怒りを抱えた、一見冷静な演技などとても難しいと思うんです。
尾野さんは全てを体当たりで、演じ切っていました。圧巻でした。
ネタばれになるといけないので、細かくは書けませんが。
上映中ですので、是非皆さんも劇場でご覧ください!!